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パリでの同時多発テロについての考察

恐ろしいテロが発生しました

  

1. 11月13日にフランスのパリで発生した同時多発テロについては、長期的な歴史的視座から考察することが重要である。ISをめぐる問題は、サイクス・ピコ秘密協定(1916年)によって引かれた第一次世界大戦オスマン帝国が敗北したことによる中東の国境線が、最終的に有効性を喪失したことから生じているのである。

2. 「ISが国際社会の秩序を混乱させている原因である」という見方は間違っている。ISは原因ではなく、サイクス・ピコ秘密協定に代表される、中東の地政学と合致しない欧米の政策の破綻が生み出した結果なのである。従って、中東に新秩序が形成されない限り、ISを除去しても別の名称の団体が似たようなテロ活動を起こすことになる。

3.―(1) 中東におけるイスラム教以外の共通の価値観は「部族」だ。中東の人々は部族を基礎に世界を見ている。中東においては、政治的のみならず文化的、宗教的にも「国境(境界線)」という発想が稀薄だ。

3.―(2) もちろん中東にも国家意識はある。しかし、その基本は独裁制だ。そして、独裁者が10人程度の側近に諮問しながら政策意思を決定する。

これは近代以降の欧米人が持っている政治観とは著しく異なる。欧米は中東に近代的な国家システムを押しつけたが、それは中東に根を下ろさなかった。別の言い方をするならば、どのようなシステムにも賞味期限があるということだ。近代的な国家システムが中東では賞味期限切れになったということだ。

3.―(3) このような状況で、国家主権を絶対視する近代国際法の概念で情勢を分析しても、事柄の本質をとらえ損ねる。国家主権の地位が低下するに伴って、世界宗教の影響力が拡大している。これは中東やイスラム世界に限定される話ではない。10年前と比較して、カトリック教会の影響が世界各地で高まっている。また、日本でも政治意思決定に与える創価学会の影響が高まっていることも、国家主権の弱体化と世界宗教の影響力の拡大という文脈でとらえるべきだ。

4.―(1) 国家という観点で、中東地域の主要なプレイヤーは、影響力順にトルコ、イラン、サウジアラビア、エジプト、イスラエルの5ヵ国である。この5ヵ国が問題ごとに敵対と提携を行っているので、事態が極めて複雑になっている。変数があまりに多くなっているために、正確な予測ができなくなっている。端的に言って、中東は「カオス(混沌)」状態になっている。

4.―(2) シリアは、独裁者の下でのみ統一を維持できる。現在のシリアは、アサド政権、IS、ヌスラ戦線(アルカイダ系)、自由シリア軍などのグループに分かれている。今後、さらに分解が進むと、マフィアと国際資本によって支配されることになる。

4.―(3) サダム・フセインは少数派であるスンニー派に属していたが、独裁的な権力によって世俗主義による統治を行った。米国は、フセイン政権を打倒した後、欧米流の多数決原理に基づく民主主義をイラクに導入した。その結果、多数派を占めるシーア派(12イマーム派)による政権が成立したが、この政権は、スンニー派クルド人を同胞と考えず、シーア派優遇政策を取った。その結果、イラク国家は事実上解体している。仮にISを掃討することができたとしても、イラクが国家としての統一を取り戻すことはないであろう。

4.―(4)
(イ)イランでは、シーア派(12イマーム派)の宗教意識だけではなく、ペルシャ文化やペルシャ帝国の遺産を評価する動きが強まっている。イラン人は、イスラム教が導入される以前の古きペルシャ文明に対しても強い誇りを抱いている。

(ロ)7月14日、オーストリアの首都ウイーンで、米英仏露中独6ヵ国とイランの間で、イランの核開発問題の解決に関する合意文書が締結された。この合意文書は中東の歴史の転換点となる重要文書だ。米国が中東におけるパートナーをサウジアラビアからイランに変更しようとしているという文脈に、この合意文書は位置づけられる。

(ハ)イランは米国のパートナーになる資質を十分に備えている。対シリア、対イラク政策でイランが米国と戦略的提携を行う意思を示せば、イランはそれに乗ってくる。米国は、現在のイランは穏健派によって支配されているので、エンゲージメントを強めることによってイランを変化させることが可能であると考えるであろう。もちろん、イランは核開発を諦めない。ただし、米国がイランの核は抑止目的のものであるという認識を持てば、イランの核保有が国際社会において事実上、黙認されることになると見ている。

 

 

 

今後の国際動向に注目して調査していく予定です

 

 本でも調べようと考えています。

 

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 お疲れ様でしたまた詳細はまた次回に